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2025.11.21

【ICT通信 Vol.12】スマホ新法で業務が変わる?企業向けにわかりやすく解説

1.はじめに

いま私たちの仕事・生活に欠かせない存在になったスマートフォン。

 仕事では、勤怠管理、給与明細配信、スケジュール管理
 生活では、家計簿管理、メモ・タスク管理

など、多くのことがスマホアプリに支えられ、便利に生活できるようになりました。

そのようななか、2024年に成立し、2025年12月18日から本格施行されるのが、
「スマホソフトウェア競争促進法」、いわゆるスマホ新法です。



これは、スマートフォン市場で強い影響力を持つ一部のOS事業者やアプリストア運営者に対し、
公正な競争環境を整えることを目的とした法律です。

(資料:「(令和7年7月29日)スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る
競争の促進に関する法律第三条第一項の事業の規模を定める政令等の一部を改正する政令等について」抜粋)



「スマホの法律なんて私たちに関係あるの?」
と疑問を抱く方も多いかもしれませんが、
実は、企業、事務所にとっても無視できない重要な内容になっています。


本記事では、スマホ新法施工の背景から、ポイントまで、できるだけわかりやすくまとめました。

2.背景

まずこの「スマホ新法」が生まれた背景から解説します。




現在スマホは生活でも仕事でも欠かせない道具になっています。
ただそのスマホの中身は



  ● アプリを入れる店(アプリストア App Store、Google Playなど)
  ● スマホを動かす仕組み(OS Windows、iOS、Androidなど)
  ● インターネットを見るためのアプリ(ブラウザ Microsoft Edge、Google Chrome、Safariなど)
  ● 検索エンジン



こうした”スマホを使う上で絶対必要なもの”を提供している会社は、世界でもほんの数社だけです。

そうすると、これまで起きていた問題


  ● 大手アプリストア以外からアプリを入れにくい
  ● 他社が作った決済システムをアプリに組み込むと制限される
  ● 標準ブラウザが勝手に決められて変更しにくい
  ● 自社アプリを優先表示して、ユーザーの選択肢を狭める



いわば、運営会社が自分の系列店ばかり優遇し、他のお店が入りづらい状態になっていました。

この状況では、

  ● 新しい便利なアプリが私たちのもとに提供されにくい
  ● 料金が高止まりしやすい
  ● ユーザーの選べる自由が少ない


といった問題につながります。

この状態を改善するために作られたのがスマホ新法です。

3.スマホ新法の目的

この法律の大きな目的は3つに分けられます。

❶不公平なルールを廃止し、公正な競争を進める


大手のアプリストア・OSを提供する会社に対し、
他者のアプリストアを締め出し自社アプリだけを優遇する、外部の決済方法を禁止する、
こうした囲い込み行為を禁止し、公正な競争ができるようにします。

例)アプリ内で自社の決済しか使えず手数料が高い
  ➤これからは、外部の決済方法も選べる可能性→手数料が下がるかも

❷新しいサービスやアプリが生まれやすくなる環境をつくる


大手企業だけが有利にならないようにすることで、
小さな企業や新規サービスも参入しやすくなります。

❸利用者(個人・企業)がより便利で、安いものを選べるようにする


競争が増えると自然に、価格が下がりやすくなり、便利なアプリが増え
私たちの選択肢が広がります。

4.スマホ新法による懸念点

スマホ新法は”巨大IT企業を取り締まるための法律”というイメージを持たれたかもしれませんが、
企業・事務所、個人のユーザーは、注意も必要です。


例)業務での利用目的で名刺管理アプリを導入

従来:端末に標準搭載されているアプリストアからダウンロード

今回:初めて見る普段は使わないアプリストアからダウンロード


その際、正規品と酷似している名刺管理アプリと間違えてしまい、
インストールにより、

・社内で管理していた共有データが外部に流出
・ウイルスを含んだデータを取り込む


などという思わぬトラブルが起こる可能性も否定できません。

新規参入のアプリストアでは、比較的審査が厳格ではないため、
脆弱性や悪意のあるものが混入しているリスクも高まります。

◆対策

社内でアプリをダウンロードする際は、決められたアプリストアからダウンロードするなど、
あらかじめ社内で規定を設け、周知しておく必要があります。

5.まとめ ――スマホ市場は“開かれた市場”へ

スマホを使って業務を行う会社が増えているなかで、
日々の使い方については、扱う個人の判断に委ねられている部分もあるかもしれません。

この機会に社内で改めて、スマホを業務で利用するにあたっての規定を見直してみるのもおすすめです。
今後1年でガイドラインが整備されていくため、動向にも注目です。

ICT通信でも、新たな情報を随時発信していきますので
引き続きよろしくお願いいたします。!




本記事は、以下の内容を参照しています。

・公正取引委員会「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律の概要」
・公正取引委員会「スマホソフトウェア競争促進法概要資料」


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