SI LABO

LINE
2026.4.24

【ICT通信Vol.17】電話番号でつながる!次世代通信規格「RCS」の基礎知識

ご覧いただきありがとうございます。


私たちのコミュニケーションツールは、時代とともに姿を変えてきました。
かつての「iモード」や「キャリアメール」から始まり、今は「LINE」などのSNSが主流になっています。

そんな中、最も基本的なIDともいえる「電話番号」をベースにした、
新しい通信規格が注目を集めています。

それが「RCS」です。

今回のコラムは、RCSが私たちの普段のコミュニケーションツールとしてアリなのか、
また、企業として周知する注意点はなにか、その基礎的な内容をご紹介します。

1.RCSとは?――SMSの「物足りなさ」を解消する

RCSは、電話番号を使って送れるメッセージ機能です。



これまで、電話番号で送るメッセージといえば「SMS(ショートメッセージ)」でした。
しかし、SMSは

・全角70文字(最大670文字)まで
・写真や動画は送れない
・送信ごとに数円のコストがかかる

というような、
現代のチャット文化から見ると「少し不便なツール」という感覚だったかと思います。


そのSMSが「SNS並みの機能」へアップデートしたのがRCSです。

・電話番号を宛先にできる(従来通りの機能)
・Wi-Fiやモバイルデータ通信を利用する
・写真、動画OK
・スタンプOK(+メッセージ)
・グループチャットOK

・長文OK


このように、LINEなどのSNSの使い方に、より近づいた機能になりました。

2.プライベートをより快適に

RCSがもたらす「3つの便利」

①「友だち追加」のストレスから解放

仕事の場面では、
「連絡先を教えるのはいいけれど、プライベート使いのアカウントが知られるのは抵抗がある」
というケースもあるのではないでしょうか。

RCSなら、スマートフォンの連絡帳にある電話番号だけで、即座にチャットが始められます。
相手に自分のアカウントが知られることはありません。

②OSの壁を超えた高品質なやり取り

これまでiPhoneとAndroidの間で写真を送ると、画像が極端に荒くなり、
さらにSMSがゆえ、料金が発生することもありました。

RCSが共通規格となったことで、iPhoneとAndroidの垣根がなくなり、
高画質な写真や動画の送受信、
さらには「既読」の確認や、相手が入力中であることを示すドット「・・・」の表示など、
双方向のリアルなやり取りがスムーズになります。

③災害時などのシーンでの強み

RCSは、「個人の身元が特定できる電話番号」に紐づいています。
そのため、災害時にSMSの利用が制限された際でも、
通信キャリアのネットワークを通じてメッセージが届きやすい
という側面があります。


(◎電話番号は、日本の法律(携帯電話不正利用防止法)に基づいて厳格な本人確認が行われるため、
匿名性の高いSNSに比べ、万が一のトラブル時にも送信者の特定が容易です。
そのため、重要な約束や証拠能力が重視される場面でも、信頼性の高い手段とされています。)

3.ビジネス利用と世界での普及状況

RCSの真価は特にビジネスシーンで発揮されています。
世界中の通信キャリアが加盟する国際団体『GSMA』が公開しているケーススタディによると、
欧米ではすでに企業の顧客対応の主役になりつつあります。

海外での先進事例



・航空会社がフライトの遅延情報をRCSで送り、
 ユーザーはそのメッセージ内のボタンをタップするだけで振替便の予約を完結させる。

・ホテルがチェックイン時間を訪ね、ユーザーが選択肢を選ぶだけで返信できる


このような企業と顧客が「対話」する形としての活用が進んでいます。




参照:GSMA(世界移動体通信システム協会)公式サイト「GSMA | RCS Business Messaging Case Studies
   Googleメッセージ「RCS Business Messaging

4.日本で利用できる「2つの入り口」と違い

日本でRCSを利用する方法は、お使いのスマホによって少し異なります。

・iPhoneユーザーの場合


標準の「メッセージ」アプリがiOS18からRCSに対応しました。
設定でRCSをオンにするだけで、使い始められます。

・Androidユーザーの場合


多くのAndroid端末に標準搭載されているアプリです。
「Google メッセージ」がそのままRCSアプリとなります。


・もう一つの選択肢「+メッセージ」


ドコモ・au・ソフトバンクの国内3キャリアが共同提供しているアプリです。
日本独自のかわいいスタンプが豊富で、企業アカウントとのやり取りに強いのが特徴です。

5.使い始める前に プライバシーと機能設定

RCSを使い始めるにあたって、設定画面で以下の2点を確認しておくことをお勧めします。



・既読機能のオン/オフ


 「既読がつくと返信のプレッシャーを感じる」という場合は、設定でオフにすることも可能です。
 ただし、オフにすると自分が送ったものも、相手が読んだかどうかもわからなくなります。

 ★iPhoneの場合
  設定アプリ≫メッセージ≫「開封証明を送信」で切り替え


・不明な差出人のブロック


 電話番号だけで送れるため、まれに知らない番号から届くことがあります。
 不審なメッセージは即座に遮断する習慣をつけましょう。

 ★iPhoneの場合
  フォルダを分ける場合:設定アプリ≫メッセージ≫「不明な差出人をフィルタ」で切り替え
  完全にブロックする場合:届いたメッセージを開き相手のアイコンをタップ≫情報≫発信者を着信拒否

6.ビジネス利用としてのアナウンス・注意喚起について

業務連絡や社内コミュニケーションの一部にRCSを利用するケースが増えるかもしれません。
自由度が高まる一方で、会社として社員にアナウンスすべき「リスクとルール」もあります。


■情報漏洩のリスクと「シャドーIT」への警戒

社員が会社に無断で、機密情報や顧客情報をやり取りする「シャドーIT」の温床になる可能性があります。
TeamsやLINE WORKSのように、一元管理・ログの保存ができないため、
RCSとの使い分けを明確にするか、利用を認めないなどのアナウンスが必要です。

■フィッシング詐欺への注意(なりすまし対策)

これまでSMSをあまり使っていない場合、アプリを立ち上げることがなかったかもしれませんが、
利用頻度が増えて、不審な送り主からのメッセージも開封してしまう可能性も高まります。
そうすると、送り主は、メッセージが開封されたことを確認でき、
「この電話番号は生きている=詐欺のターゲットにできる」という判断材料を与えてしまいかねません。



不審なメッセージは開かない、たとえ開いてしまってもURLをクリックしない
というような、これまで以上に警戒する必要があることを周知しなければなりません。


■通信コストと環境の確認

RCSは「パケット通信」を利用しますが、相手がRCS非対応の機種の場合、
自動的に「SMS(従量課金)」に切り替えられることがあります。

7.おわりに

RCSは単なる「高機能なSMS」ではありません。
通信キャリアが提供する、電話・SMSに次ぐ「第3のインフラ」です。 

個人にとっては、OSやアプリの制約に縛られない自由度の高い連絡手段となり、
企業にとっては、顧客とより深く安全につながる窓口となります。

リスクを管理しながら、新たなコミュニケーション手段として活用していけると便利ですね。

【参考サイト】

・Apple Support「iPhoneでRCSメッセージをオンにする」(https://support.apple.com/ja-jp/122195
・NTTドコモ「+メッセージ(プラスメッセージ)|サービス」(https://www.docomo.ne.jp/service/plus_message/
・ソフトバンク「RCS(リッチコミュニケーションサービス)」(https://www.softbank.jp/mobile/service/rcs/
・NTTドコモ「AndroidTM 製品における標準メッセージアプリに Google メッセージを採用」(https://www.docomo.ne.jp/info/notice/page/260306_00.html
・Google Help「Google メッセージ アプリを使ってみる」(https://support.google.com/messages/answer/6089066?hl=ja


戻る ↗︎